神戸は、西日本の市町村の中でも有数の経済都市として知られています。
また神戸は開港地としても有名で、東日本では横浜、そして西日本では神戸が港町として大きく発展してきました。
そんな神戸について、本ページではその経済的な側面にスポットライトを当てて紹介していきたいと思います。
まずここでは、神戸経済の現状と今後について触れていきます。
経済の現状を語る上で最も重要な材料になるのは経済成長率です。
ですので、ここではまず神戸市の経済成長率を取り上げていきたいと思います。
尚、以下で用いる数字は平成26年までの記録ですので、その点は予めご了承ください。
まず、大まかに神戸市の経済成長率に触れると、至って順調に伸びているということになります。
具体的に言うと、神戸市単独での経済成長率は平成17年度~平成23年度にかけての年平均で約0.8%という数字を記録しています。この期間の成長率を合計すると5.35%となります。
この数字の中で重要なのは、リーマンショックが起こった2008年~2009年までの時期を除いては、成長率がほとんど落ち込んでいないということです。
つまり、神戸経済はそれだけ安定的な成長を可能にする経済的な基盤を有しているということなのです。
また、神戸経済は兵庫県全体の経済にとっても欠かせないものとなっています。
神戸市は単独で約7兆円の経済規模を有しており、これは約21兆円の経済規模を持つ兵庫県の3分の1に昇る巨大な数字なのです。
兵庫県内において単独市町村でこれだけの経済規模を有しているところはありませんから、兵庫県下における最重要都市は神戸市であると言うことができます。
もっとも、ここ数年の経済成長率ということに限れば、神戸市よりも成長している自治体が他にあります。
それは尼崎市で、同市は平成17年度から平成23年度にかけての期間で6%以上の成長率を記録しています。
また、この尼崎市を中心にした阪神南地区で見ると、成長率は上記の期間で9%を超えています。
ただし、これはここ数年に限った話で、GDPの額で見れば神戸市が約3600億円(同期間)で県内で断トツの1位となっています。
高い経済成長率を続ける理由として、神戸では“資金調達がしやすい”という点を挙げる事が出来ます。
西日本屈指のビジネスエリアである同所では、銀行や消費者金融が豊富である事に加えて近年ではファクタリング会社が台頭しており、老舗のみならず新たに起業した方でも安定した経営を行う事が可能になっています。
また、資金が潤沢である事から神戸では常に高い雇用率を誇っており、経済成長率をさらに後押ししているのです。
産業割合を知る上では、特化係数というものが重要になります。
特化係数とは、各都市の従業者数の産業大分類別構成比を全国の従業者数で割ったもので、1.00を上回っている分だけその産業に特化しているということを表しています。
要するに、この数字を見ればその都市がどのような産業に力を注いでいるかが分かるのです。
そこで、神戸市についての特化係数を見てみると、目立って高い係数を記録している産業が2つあります。
1つは運輸業・郵便業で1.29、そしてもう1つは宿泊業・飲食サービス業で1.25という特化係数を記録しています。
そしてその一方で、建設業においては0.61を記録しており、こちらは他の都市と比べてもかなり低い数字となっています。
ですからこれらを総合すると、神戸市は運輸業・郵便業と宿泊業・飲食サービス業という2つの産業に特化しており、建設業にはあまり力を入れていないということになります。
次に、産業分類をもう少し細分化して見ていきましょう。
まず製造業ですが、ここでは「ボイラ・原動機」や「ゴム製・プラスティッ ク製履物」などが特に高い特化係数を記録しており、これに続いて「鉄道車両・同部品」や「貴金属・宝石」、「革製履物・その他革製品」なども高い特化係数を記録しています。
次に第3次産業について見てみると、ここで目立つのはやはり「運輸施設提供業」と「その他運輸に付帯するサービス業」です。
神戸市には港湾関連企業の集まっている神戸港があるため、こうした業種が活動しやすい環境があるのです。
最後に卸し・小売業について見てみると、ここでは「衣類卸売業」、「日用品卸売業」、「婦人子供服小売業」、「靴・履物小売業」が特に高い特化係数を記録しています。
これらの産業は日本全国どこにでもあるものですが、神戸市ではこうしたアパレル・装飾品・洋菓子・清酒関連などを他の業種と分類して「ファッション産業」と呼んでいます。
さて、最後に神戸市の産業割合について簡単にまとめると、同市では特化係数に現れているように、運輸業・郵便業と宿泊業・飲食サービス業の占める割合が多くなっています。
一方で、建設業が占める割合は他の都市と比べて小さく、これは特化係数にも現れています。
神戸経済は過去数十年の間、阪神淡路大震災とリーマンショックの後を除いてほぼ一貫して成長してきました。
ですから、今後もそうした大きな経済的なショックが無い限りはこれまでの成長が続いていくと考えられます。
特に、神戸は最近では観光産業が盛んになっているため、外国人観光客が増えている現状を踏まえれば、今後はこうした分野でも成長を見込むことができます。
また、アシックスを筆頭にオリンピック需要を取り込める企業もいくつか存在しているため、様々な面で今後の神戸経済に期待も持つことができそうです。